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【私の再反論】

1.保守思想は近代的価値に対して
  中世の価値を保守する考え方です。

  中世にとって世界のあらゆるもの全ての中心は
  宗教であり、宗教を排除する保守思想など
  あり得ません。

  以下のケルン『中世の法と国制』からの引用を
  お読みください。


  ケルン 『中世の法と国制』 P25 2行目〜

   法を誰か神話的な立法者に帰するということは、
   (略)
  (彼らが)恣意的な法作成者と考えられて
   いた訳ではなく、真なるもの・良きものの
   特に強力で明確な開示者であると考えられて
   いたからである。
   語の完全な・真の意味においては、
   神だけが唯一の立法者なのである。
    (略)
   神話的立法者の(制定する)この法は、
   成文のものではなかった。
   それは極度に伸縮自在であり、
   あいまいなものである。
   一切の良きものはそこに場所を占めており、
   一切の悪しきものは後世の逸脱であり
   腐敗であり、再び除去されるべきものなのである。

2.谷田川先生のような歴史至上的な
  考え方こそが、現在の価値観が最も
  進歩しているとする進歩史観ではないでしょうか?

  ヘーゲルの進歩史観は弁証法の積み重ねによる
  演繹的な歴史解釈ですが、谷田川先生のご主張は、
  2000年続いたという事実から帰納的に
  掘り下げているだけで、どちらも科学的な
  アプローチであることに違いはありません。

  500年でもなく1000年でもなく、
  2000年の歴史を持つ男系継承は最も価値があり、
  ついには神話の解釈を決定できるほどになった。

  このご主張を私は非常に傲慢に感じます。

  歴史は有限の時間の中の事柄ですが、
  神話は永遠であり、無限の時間の中に存在します。

  2000年という時間は、そもそも神話にとって尺度が合いません。

  谷田川先生のご主張は神話を「2000年」という枠に入れて、
  矮小化させてしまいます。


3.歴史は我々が引き継ぎ、次世代に引き継いでもらうものです。

  男系維持策を提示しないまま、次世代に男系継承の遵守を
  引き継いでもらうことは、事態を悪化させた上での
  問題の先送りでしかありません。


4.我が国では生涯で一度は伊勢神宮に詣で、
  天照大御神に祈りを捧げることが
  民衆の願いでした。

  神話は個人を神々と対峙させます。

  女系天皇を通して我々はいつも
  天照大御神とのつながりを感じ、
  天照大御神と対峙することになります。

  これのどこが歴史と神話の断絶でしょうか?
  これのどこが新興宗教でしょうか?

以上

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保守思想 目次
1.古き良きもの
 ・【反論】個人的感想(ではない)
 ・【反論】長く続いたものは良きもの
 ・【反論】過去の叡智
 ・【反論】神話から男系(ではない)
2.神話と歴史
 ・【反論】神話と歴史
3.時効の論理
 ・【反論】時効の論理
4.悪しき陋習
 ・【反論】悪しき陋習
5.墓の下の民主主義
 ・【反論】墓の下の民主主義
6.【反論】まとめ