HOME > 保守思想 > 3.時効の論理

-------【9月8日の私の文章】-------

3.「2000年続いた男系は時効だ」という反論があります。

  「時効」とは物権法の「時効取得」の概念です。
   「時効取得」とはある物を取得した経緯が
  「不明」「不正」であっても、一定期間経過すれば
  所有権 が発生するというものです。

  長くなりますが、保守思想の始祖たるバークは
  フランス革命に対して「時効」の概念で
  英国王室の正 当性を主張しました。

  英国王室はフランス人の侵略から始まり、
  ピューリタン革命で王が斬首、名誉革命で本来の王は追放、
  オランダ人を王に据えるという経緯があり、その正統性には
  「不正」と「不明」が満ちております。

  バークは「名誉革命後、英国の王制は
  100年間上手くいっているから時効だ」というほか、無かった のでした。

  ところが皇統は我が国の始まりにまで遡ることが可能で、
  我が国で最も正統性があります。

   皇統に「時効」の概念を当てはめる事は
  「皇統の始まりは不正、不明である」と言っていることに等しく、
  不適当であるばかりか、汚らわしく感じます。

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【以下9月20日の谷田川先生の反論】

これについては、すでにここまで読んでいただいている人は
おわかりだと思いますので、説明は不要かと思いますが、
念のために解説しておきます。

時効というのは、時間には効力があるという考え方です。

先にも述べましたがおかしなことは長く続かないので、
長く続いていることには価値があるということです。

なぜ価値があるかというと、幾世代もの取捨選択に
耐え抜いてきたものこそ、残るべくして残ってきたのだから、
そこには現代人にはわからない叡智が含まれていると
考えるからです。

そもそも保守思想の時効というのは
そういう考え方のことであって、物権法の概念が
ベースになっているわけではありません。

ちなみに物権法の時効概念とは、取引の安全性確保のため
長い事実関係を尊重するという考え方です。

最初が不正であったかどうかというのはどうでもよく、
事実関係が長く続いていることを重要視する のです。

誰も文句を言ってこない状態が一定期間続いたのであれば、
その事実を認めると。

でなければ、実態と名義が違うという状態が続けば、
その土地を買いたいと思う第三者が安心して購入することができず、
取引の安全性が損なわれるということです。

動産の即時取得も同じ考え方です。

時間に効力を認めるという点では、保守思想の時効概念に似ていますが、
それはあくまで時間部分であって、不正や不明などは何にも関係がありません。

バークもそのようなことは言ってません。
勝手な妄想レベルの話です。

→【反論】時効の論理


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 ・【反論】個人的感想(ではない)
 ・【反論】長く続いたものは良きもの
 ・【反論】過去の叡智
 ・【反論】神話から男系(ではない)
2.神話と歴史
 ・【反論】神話と歴史
3.時効の論理
 ・【反論】時効の論理
4.悪しき陋習
 ・【反論】悪しき陋習
5.墓の下の民主主義
 ・【反論】墓の下の民主主義
6.【反論】まとめ