-------【9月8日の私の文章】-------
4.「古き良きもの」の反対は「悪しき陋習」です。
側室なき男系継承は皇室に入る女性に多大なる負担を課し
ついには皇統の危機を招くに至り、 「悪しき陋習」と言わざるを得ません。
「悪しき陋習」は積極的に改革し、伝統の精神を守る必要があります。
伝統の精神とは君臣の別、承詔必勤などであり、
「旧宮家復活案」は伝統の精神を死に至らしめる愚 策です。
----------------------------------------------
【以下9月20日の谷田川先生の反論】
保守の思想についてはすでに話は終わっているのですが、
念のため解説しておきましょう。
「古き良きもの」になるのか「悪しき陋習」になるのか、
誰が決めるのでしょうか。
ここが保守思想の胆なんです。
伝統という客体(客観)を認識するのは主観(理性)です。
伝統という存在は確かにあるんだけれど、
それを認識するのはどこまでいっても理性なんです。
先ほど理性について人間の不完全性の話をしましたが、
伝統について考える理性も当然不完全となる のです。
でなければ「おれの考える伝統が正しい」と
言い出す人が出てくる。
だから、まずは長く続いているという事実を尊重するのです。
長く続いているものは絶対ではないが、まずは尊重するという姿勢です。
男系継承は二千年続いているのだからまずは尊重する。
尊重しながらこれからどうするのか、ということを考えていくのが
保守思想です。
それを「悪しき陋習」と決めつけてしまうのは、
まさに理性を万能視する左翼・革新思想の発想と同 じなのです。
二千年続いたことを、「悪しき陋習」かどうか
現代人が裁くことができるという考え方です。
おかしなことは長く続かないという考え方に立てば、
そもそも「悪しき陋習」が二千年も続くでしょうか。
例えば、男系継承が悪しき陋習なのではなく、
男系を維持するための方法の一つに悪しき陋習が
あるというのならわかります。
二千年以上続くものが悪しき陋習なら、
いったい何が伝統になるのか、というレベルの話になってしまいます。
男系継承は悪しき陋習でなく二千年続いた価値のあるものだが、
このままでは続けることができない、という主張なら理解できますが、
「続けることができない=悪しき陋習」と決めつける思考法は
いかがものでしょうか。
私が女系容認派に疑問を持つのは、その主張以前に、
現在の結論を導き出すために歴史的事実の意義を否定することです。
男系継承で続けてきた歴史的事実は重たいが、
これからも続けることは難しいのではないか、
という主張ならまだ理解できます。
私は状況論は重要だと思いますが、状況論から歴史的事実を
ねじ曲げる思考法が許せないのです。
女系論者は気づいていないのかもしれないが、
現在の結論(理性)を導き出すために歴史を否定するのは、
理性万能主義の根拠に進歩主義を持ち出し、
歴史を否定したマルクス主義史観と構造はまったく同じなのです。
→【反論】悪しき陋習
トップページ
保守思想 目次
1.古き良きもの
・【反論】個人的感想(ではない)
・【反論】長く続いたものは良きもの
・【反論】過去の叡智
・【反論】神話から男系(ではない)
2.神話と歴史
・【反論】神話と歴史
3.時効の論理
・【反論】時効の論理
4.悪しき陋習
・【反論】悪しき陋習
5.墓の下の民主主義
・【反論】墓の下の民主主義
6.【反論】まとめ